この記事は第三者の監修を受けています。
藤東 淳也 院長(日本産科婦人科学会専門医/医学博士/母体保護法指定医)
「産科・婦人科 藤東クリニック」院長。
1993年、東京医科大学病院の産婦人科学教室でキャリアをスタートし、1999年には東京医科大学八王子医療センターで産婦人科医長を務める。更なる探求心から米国カンザス大学医学部へ留学し、帰国後は東京医科大学産院産婦人科学教室の医局長などを歴任し、2010年に自身のキャリアを活かし「産科・婦人科 藤東クリニック」の院長に就任。日本産科婦人科学会専門医、細胞診専門医、日本産科婦人科学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医
妊活中や妊娠中の女性は栄養バランスの良い食べ物と健康な体づくりが欠かせません。
妊活をしている時に口にする食べ物や栄養管理はいつも以上に気をつけたいものです。未来の赤ちゃんのためにも、妊活をしている女性は食べ物や栄養について正しい知識を身につけていきましょう。
目次
授かる体づくりをするための基本を知ろう
妊活を始めた人が気になるのが食べ物ですね。
まず、妊活中は栄養素の偏りがないようにすることが大切です。
妊活をしていると妊娠するための「特別にいい食べ物や栄養素がないか」というのは、とても気になりますよね?
でも、残念ながら「これを食べると必ず妊娠する」という食べ物があるわけではありません。しかし、妊活のサポートをしてくれる食べ物はたくさんあります。
妊活を成功させるためには健康な体づくりが欠かせません。
妊活の成功ためにはバランスの良い食事を心がけ、食べ物からタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素を摂り、規則正しい食生活をすることが基本です。
妊活中に妊娠力を高めてくれる食べ物を知ろう
妊活を卒業するために妊娠力の高い体づくりに役立つ、主要栄養素を4種類に分けてご紹介します。
まずは妊活の役に立つ食べ物を知りましょう。
妊活中に摂りたいタンパク質の効果とは?
妊活中の女性に欠かせないのがタンパク質です。
たんぱく質は血や筋肉、ホルモンや免疫物質など、全身の大部分をつくる「カラダづくりの基礎となる栄養素」です。
たんぱく質は卵子や精子のもとになる栄養素なので、妊活にも不可欠な栄養素だと言われています。
タンパク質が不足すると代謝が落ちたり、様々な不調が起こります。
また妊活中にタンパク質が不足すると排卵障害を起こしたりしやすくなるとも言われています。
妊活中は太りすぎてもダメですが、痩せすぎていても妊娠しにくい身体になってしまいます。
タンパク質には筋肉を増やすはたらきもあるので、健康的に体重を増やし、妊娠力も向上させてくれます。
代謝がアップすることで、平熱も上がり免疫力が高くなり、基礎体温を底上げしてくるのでスムーズに高温期や排卵日を迎えられるといった効果も期待できます。
また、妊活中だけではなく、妊婦さんにもタンパク質は必要です。
妊娠初期にタンパク質の摂取量が極端に低かったお母さんから生まれた子どもは、3歳時点でコミュニケーション能力などの発達に遅れが見られる傾向にあるという山梨大学の研究発表もあります。
※参照:国立大学法人 山梨大学 研究成果
タンパク質が多く含まれる食べ物
妊活をサポートしてくれるたんぱく質が多く含まれる食べ物の代表は肉、魚、卵、乳製品、大豆製品の5つです。
ほとんどの女性はタンパク質が不足している
聞いたことがある人もいるかもしれませんが、厚生労働省の国民栄養調査によると現代の日本人のタンパク質の摂取量は戦後の1950年代と同水準と言われています。
※参照: 1947~1993年:国民栄養の現状, 1994~2002年:国民栄養調査, 2003年以降:国民健康・栄養調査(厚生省/厚生労働省)
タンパク質の1日あたりの推奨摂取量は「体重1㎏あたり10g」です。体重が50㎏の人なら約50gが目安となります。
肉や魚などの食べ物100gあたりに含まれるタンパク質は20g程度なので、体重が50㎏の人が食べ物からタンパク質50gを摂取しようとすると約250gの肉や魚を毎日食べる必要があります。
これは妊活のためでも少し大変だなぁ・・・と感じる人も多いのではないでしょうか。
このように実際に重さに換算してみると、多くの女性がタンパク質が足りていないと言われている理由が容易に想像できますね。
1日に必要なたんぱく質の摂取量を無理なく食べ物から摂るなら、朝昼晩とこまめに食事に取り入れてください。それでも不足している分はサプリやプロテインなどをうまく活用するのも一つの方法ですね。
ビタミンDは足りてますか?その効果とは?
妊活中には不妊治療院などでもビタミンDが処方されることがあります。
なぜなのでしょうか?
ビタミンDの働きと妊活におすすめな理由
ビタミンDには卵巣機能を高めたり、子宮内膜の状態をよくしたりする働きがあります。
また、ビタミンDが充足している人と不足している人を比較したところ、着床率、妊娠率、出生率、流産率の全てにおいてビタミンDをしっかり摂れている人の方が成績が良かったのです。
この調査結果(※1)でビタミンDの状態とART(体外受精・顕微授精)の治療結果には関連性があることが分かりました。
※1 Justin Chu Reprod Health.2019; 16: 105.(イギリスでの調査)
ビタミンDが多く含まれる妊活中におすすめの食べ物
妊活をしている人が積極的にビタミンDを摂取した方がいいことは理解してもらえたと思います。
妊活に必要不可欠なビタミンDが多く含まれるおすすめの食べ物はきのこ類、鮭・さんま・いわしなどの魚類、卵、チーズなどです。
「あれ?肉や野菜が入ってない」と思ったあなたは鋭いですね。
実はビタミンDは肉や野菜にはほとんど含まれていない栄養素なのです。
ビタミンDは人間の体内でもつくられる
ビタミンDは妊活中や妊娠中の必須栄養素と言っても過言ではない栄養素です。
人間はビタミンDを食べ物から20%摂取して、日光にあたり紫外線を浴びることで80%を体内でつくっています。
ビタミンDはイライラや鬱病とも関係があると言われています。
気分転換で外を散歩するとビタミンDもつくることができて、妊活のストレス軽減や妊活うつ病の予防にも効果的かもしれません。
妊活中は葉酸をしっかり摂ろう
妊娠を望む女性や妊活中の女性が摂っておきたい栄養素が葉酸です。
妊娠初期から妊娠中期の女性も葉酸はしっかり摂りましょう。
葉酸はビタミンB群の一つです。
妊活中から葉酸が必要な理由とおすすめの摂取方法をご紹介します。
葉酸で妊娠しやすくなるの?どんな食べ物に含まれているの?
妊活中の女性が妊娠するために最初にすることとして、多くの人が葉酸を思い浮かべるのではないでしょうか。
妊活には葉酸が大切だと言われるので、「葉酸を摂ると妊娠しやすくなる」と思っている人もいると思います。
しかし、葉酸は妊娠しやすくする栄養素ではなく、いつか授かる赤ちゃんの成長を助けるための栄養素です。
葉酸はどうやって働いてくれるの?
妊活を卒業して、妊娠をするとお母さんのお腹の中では赤ちゃんが急激に成長していきます。
赤ちゃんが成長する時に急速に細胞分裂を繰り返します。
この細胞分裂をする時にDNAを複製するのですが、ここで葉酸が必要になります。
特に妊娠初期で赤ちゃんがどんどん成長する時に葉酸が不足していると、「神経管閉鎖障害」という重大な障害がおこるリスクが上がることが分かっています。
葉酸は妊娠初期に必要ですが、妊娠初期というのは気づかない人がほとんどなので、妊活を始めて、赤ちゃんを望んだ時から葉酸を摂取しておくことで、赤ちゃんの基本的な器官が形成されるとても大事な時期に備えることができます。
妊活におすすめの葉酸摂取方法とポイント
妊活に必要と言われる葉酸は水溶性のビタミンなので、体に溜めておくことが難しい栄養素です。
葉酸は必要以上に摂取しても尿中に排出されますので、葉酸の摂りすぎよりも、葉酸不足に気を付けましょう。
葉酸を食べ物から摂取するのに大切なポイントはこまめに継続して摂取することです。
葉酸を摂るのに良い食べ物は以下の通りです。食べられる部分の100gあたりでどれくらい含まれているのかもご紹介します。
- ゆで枝豆:260㎍
- ゆでブロッコリー:120㎍
- ゆでほうれん草:110㎍
- おくら:110㎍
- アボカド:84㎍
- ひらたけ:71㎍
- 玄米:27㎍
葉酸の摂取量は女性の妊活や妊娠中のステージによっても違います。
厚生労働省の食事摂取基準(※2)によると、日本人女性の葉酸の推奨摂取量、1日あたり240㎍です。
妊娠中期、後期の場合は通常の2倍の480㎍が推奨量です。
妊活中、妊娠初期になると更に多く、食べ物から葉酸を240㎍摂取し、追加でサプリメントなどから400㎍を摂取することが推奨されています。
妊活にサプリメントなどを活用するのは良いの?
妊活中に食べ物だけで1日に必要な葉酸を全て摂取するのは難しいと感じる場合は、サプリメントなどを併用するのもいいですね。
葉酸には天然葉酸と合成葉酸がありますが、厚生労働省では吸収率の良い合成葉酸を推奨しています。
葉酸と一緒に摂るといい食べ物や栄養素は?
葉酸の吸収と代謝には亜鉛、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB12の5つの栄養素が深く関わっており、これらの栄養素を同時に摂取することで、体内で葉酸を上手く働かせることができます。
妊活をきっかけに夫婦で食生活を見直そう
妊活や妊娠の基本はバランスの良い食事と食べ物からの栄養補給です。
本来、妊活は夫婦揃ってすることが理想です。
妊活を成功させて赤ちゃんを授かるためにも、夫婦一緒に食生活を見直して、前向きに妊活に取り組みましょう。
ただし、どうしても栄養バランスを考えた食事を毎日続けるのは大変なことで、全ての栄養を食べ物からだけで摂るのは難しいのが現実です。栄養バランスや食べ物のことばかり考えて、ストレスになってしまっては元も子もありません。
「病は気から」とはよく言ったもので、いくら健康的な生活をしてもストレスフルな気持ちでは妊活中も妊娠中もカラダに良くありません。
そんな時は1食で1日分の栄養補給ができる、妊活プロテインのモトクルがおすすめです。
モトクルにはタンパク質や葉酸、ビタミンDはもちろんのこと、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウム、ナイアシン、各種ビタミンなど様々な栄養素がバランス良く配合されているので、妊活中や妊娠中の栄養補給の補助に役立ってくれます。
妊活に必要な栄養を全て食べ物で摂るのが難しい時は、サプリやプロテインなどを上手に活用しながら、健康的な身体で元気な赤ちゃんを授かる準備をしていきましょう。
まずはお母さんがバランスの良い食事や栄養管理をして、健康な赤ちゃんを迎え入れるために、できることから少しずつはじめてみましょう。
※ 本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を選定・推奨している訳ではありません。