この記事は第三者の監修を受けています。
丸茂 元三 院長(日本産科婦人科学会専門医/母体保護法指定医/FMF認定超音波医)
「医療法人社団 清陵会 丸茂レディースクリニック」院長。
1991年、東京大学医学部附属病院産婦人科でキャリアをスタートし、12年に及び東京大学医学部付属病院産婦人科で務め、2003年に板橋中央総合病院産婦人科に異動し、1年後には医長になり、その後8年にわたり医長を務める。自身のキャリアを活かし2013年に東京都港区六本木に「医療法人社団 清陵会 丸茂レディースクリニック」を開設。日本産科婦人科学会専門医、日本超音波医学会 超音波専門医、日本産科婦人科遺伝診療学会認定(周産期)、新胎児学研究会所属
妊活や不妊治療について調べると「妊娠力」というキーワードが出てくることがあります。
皆さんは妊娠力とは何か分かりますか?
また、妊娠力を高めるためには、どんなことをしたらいいのでしょうか?おすすめの食べ物などはあるのでしょうか?
目次
妊娠力とは?
妊娠力とは「妊娠するための力」という意味で使われます。
妊孕力(にんようりょく)とも言われてたりしますが、医学的には妊孕性(にんようせい)といいます。
具体的に妊娠力(妊孕性)とは何のことかというと、卵子や精子の話だけではなく、ホルモンバランス、生殖器、性機能などが関係しています。
不妊の原因は男女1対1というのは御存知の方も多いと思いますが、やはり夫婦が揃って一緒に妊娠しやすい健康な身体の状態にすることが妊娠力、妊孕姓を高めることに繋がります。
妊娠率はいつが一番高いの?
妊娠率は年齢と深い関係があります。特に女性が注目されがちですが、もちろん男性の年齢も関係します。
今回は女性の年齢と自然妊娠率に注目して、見てみましょう。
女性、男性ともに健康や生殖機能に問題のない夫婦が、排卵日付近に1年間性交渉を行った場合、20代の前半が一番妊娠率が高く、1周期あたりの自然妊娠率は20代が一番高くなっています。
そこから加齢とともに、徐々に妊娠率も低下していきます。
妊娠率は必ず下がっていきますが、妊娠力を高めることで妊娠の確率を少しでも上げていくことが大切です。
このように加齢とともに妊娠率は低下していくので、「赤ちゃんが欲しい」「妊活をはじめようか考えている」という場合は、少しでも早く妊娠に向けて活動することが大切です。
あなたの人生において、今こそが一番妊娠率が高い時期だということは間違いないでしょう。
妊娠力を高める
妊娠を望む夫婦が取り組むこととして、妊活やプレコンセプションケアという言葉が当たり前になりつつあります。
赤ちゃんが欲しいと思った時から、将来の妊娠に向けて夫婦が揃って自分達の体の状態を知り、普段の食べ物に気を遣い、健康管理をすることが大切です。
妊娠力を高める食べ物と栄養素
妊娠力を高めるにはバランスの良い食事と栄養管理が大切です。
主菜、副菜、主食をしっかりとバランス良く食べることで、栄養バランスも良くしやすいのでおすすめです。
バランスの良い献立を考える上で、食べ物選びは重要なポイントになります。
たくさんある栄養素の中でも、特に妊娠力を上げ、妊活に影響のある食べ物や栄養素とその効果についてご紹介します。
どんな食べ物にどんな栄養素が入っているのかも確認してみてくださいね。
ビタミンD
妊娠力を高めるうえで、外せない栄養素がビタミンDです。
ビタミンDが不足すると、不妊治療の時の体外受精の受精率の低下や、妊娠してからの流産率の上昇に影響があると言われています。
新生児の発達障害の可能性も高まると言われている、生殖ホルモンの分泌に関与する栄養素がビタミンDです。
妊娠力を上げたいと望み、妊活をはじめたらビタミンDを多く含む食べ物を意識して摂取するようにしましょう。
多く含まれる食べ物:魚類、きのこ類など
オメガ3脂肪酸
血流改善、精子の運動率と質の向上に効果があります。
多く含まれる食べ物:イワシや鯖などの青魚、くるみ、アマニ、エゴマなど
抗酸化ビタミン 各種ビタミン類
ビタミンA
ビタミンAは妊娠に必要な栄養素で、細胞の分裂や増殖をする役割を持ち、子宮環境を整え、受精卵が着床するのを助けてくれる栄養素です。
しかし、ビタミンAは過剰摂取すると胎児の奇形リスクが上がります。うな重などのように食べ物によっては1人前を食べるだけで、1日の上限摂取量を大幅に超えてしまう食べ物もあります。ビタミンAを摂取する際には適度に摂取することがおすすめです。サプリやプロテインなどで補う場合は「β-カロテン」を摂取するようにしましょう。
βカロテン(ベータカロテン)は体内で必要な分だけビタミンAに変換され、過剰摂取の心配がない優秀な栄養素です。
多く含まれる食べ物:レバー、うなぎ、バター、卵など
ビタミンB
ビタミンBはエネルギー代謝に欠かせない必須ビタミンです。
妊活に必要な栄養素や食べ物と調べると葉酸に辿り着くのではないでしょうか。この葉酸もビタミンB群の一つであり、細胞を形成する時にDNAの合成に必要な栄養素です。
葉酸は妊娠力を高める役割というより、妊娠してから必要となる栄養素の一つです。
妊娠初期(受精卵)からすごい勢いで細胞分裂をして、DNAの合成が活発に行われます。
葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害のリスクが高まることが分かっています。
多く含まれる食べ物:葉酸 レバー、ほうれん草、ブロッコリーなど
ビタミンE・ビタミンC
ビタミンEやビタミンCは卵子や精子の老化を遅らせる働きが期待されています。活性酸素を除去し、強い抗酸化作用があるので、妊娠力にも影響する子宮内膜の質の改善にも良いと言われています。
多く含まれる食べ物:ビタミンE アーモンド、ナッツ類、かぼちゃなど
多く含まれる食べ物:ビタミンC レモン、パプリカ、ブロッコリーなど
たんぱく質
たんぱく質は身体づくりの基礎となる栄養素で、皮膚、筋肉、内臓、血管などの基となります。他にもホルモンや酵素、免疫物質の基にもなるたんぱく質は、とても重要な栄養素です。肉や魚、卵、大豆など様々な食べ物に含まれています。
妊娠を望んだら子宮や卵子のためにも積極的に摂りたい栄養素です。
妊娠力を高め、妊娠しやすい身体づくりの基礎を担う栄養素と言ってもよいでしょう。
多く含まれる食べ物:肉類、豆類など
亜鉛
亜鉛は男性に必要な栄養素のイメージが強いかもしれませんが、男女にとって必要な栄養素です。
男性の場合は精子の増加、精子の運動率の向上、前立腺の機能向上などが期待できます。食べ物から亜鉛を積極的に摂ることで、男性も妊娠力を高め、女性の妊活のサポートができます。
女性の場合は卵子の老化防止や子宮内膜環境の向上、受精卵の細胞分裂の活性化などに効果があると言われています。
多く含まれる食べ物:牡蠣、カシューナッツ、肉類、魚介類など
妊娠力を高める 適正体重を目指そう!
妊娠力を高めるために、栄養バランスの良い食事や妊娠力を上げるために必要な栄養素を多く含む食べ物を意識しながら、適正体重を目指しましょう。どれだけ良い食べ物でも食べ過ぎては逆効果です。
極度の肥満や痩せすぎは、ホルモンの分泌に異常をきたして排卵障害が起きたりする原因になると言われています。これでは妊娠力が下がる要因になってしまいますね。
肥満の場合は妊娠しにくいだけでなく、妊娠後に妊娠高血圧症候群などの可能性が高まります。
痩せすぎの場合は、胎児の発育に影響を及ぼして、早産や低出生体重の可能性が高まる可能性が高くなることがあります。
あなたの現在のBMI値を計算して、自分自身の体格区分を調べましょう。
BMI値の計算方法は体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)です。
妊娠力の高い身体づくりのためにはバランスの良い食事と適正体重を意識して、妊娠しやすい身体づくりが大切だということが分かりましたね。
もし、あなたが肥満の状態ややせの状態でしたら食べ物をもう一度見直して、健康的に適正体重を目指していきましょう。
妊娠力を高めて、妊娠しやすい生活習慣
妊娠力を高めるためにはバランスの良い食事をし、食べ物から栄養摂取することを基本として、質の良い睡眠や適度な運動を心がけて規則正しい生活をすることが大切です。
1日7時間の睡眠
妊娠力を高めるために大切な、別名「妊娠ホルモン」と呼ばれるメラトニンは睡眠中に分泌されます。
メラトニンは深夜1時~3時の間が分泌量が多くなります。この時間に深い眠りにつくことを意識して、最低でも7時間は睡眠するようにしましょう。
適度な運動をして
適度な運動をすることで、基礎代謝があがり、女性の大敵である冷え対策にもなります。
それだけでなく、心身共に良い影響があり、ストレスの発散にもなります。
運動というとハードルが高く感じる人もいるかもしれませんが、朝のストレッチや階段を多く使うなど、できることから始めてみる程度でも良いので、まずははじめてみることが大切です。
妊活中は小さなことの積み重ねが妊娠力を上げることに繋がっていきます。
まとめ
健康な赤ちゃんを授かるためには夫婦双方の健康状態が関係しています。
妊娠力を高めるためには、女性だけでなく、男性も妊活のパートナーとして一緒に健康状態と向き合い、自分の身体の状態を知ることが大切です。
いきなり頑張りすぎて続かないより、まずはできることから始めてみて妊娠力を高めるために、バランスの良い食事と規則正しい生活を習慣化していくことが大切です。
妊娠力を高めるための各種栄養素は食べ物から摂取することが理想ですが、毎日の栄養管理と献立は大変なことも多いと思います。
そんな時はサプリや各種栄養素の入った妊活プロテインなどを上手く活用して、日々の栄養管理をしてみてください。
まずは、妊娠力を高めるために手軽にできることからはじめていきましょう。
※ 本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を選定・推奨している訳ではありません。