この記事は第三者の監修を受けています。
藤東 淳也 院長(日本産科婦人科学会専門医/医学博士/母体保護法指定医)
「産科・婦人科 藤東クリニック」院長。
1993年、東京医科大学病院の産婦人科学教室でキャリアをスタートし、1999年には東京医科大学八王子医療センターで産婦人科医長を務める。更なる探求心から米国カンザス大学医学部へ留学し、帰国後は東京医科大学産院産婦人科学教室の医局長などを歴任し、2010年に自身のキャリアを活かし「産科・婦人科 藤東クリニック」の院長に就任。日本産科婦人科学会専門医、細胞診専門医、日本産科婦人科学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医
「そろそろ赤ちゃんがほしい」「いつかは妊娠したい」と思っていても「妊活って何から始めたらいいのかが分からない」という方も多くいると思います。
妊活とはなにか、具体的に妊活はどんなことから始めたらいいのか、妊活を始める前に正しく学んでおくことで、赤ちゃんを望んだ時に早く妊娠する手助けになるかもしれませんよ。
目次
妊活とは?
妊活と言うと「不妊症」や「妊娠できない人」が妊活をするというイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。
一般的に妊活と言えば「妊娠を望む夫婦が、赤ちゃんを授かるためにする活動」を総じて言います。
もちろん赤ちゃんを授かるためにするのですが、授かり、出産することがゴールです。
言い換えれば「健康な赤ちゃんを産むための準備」とも言えるので、本来は全ての夫婦がすると良いでしょう。
妊活ってなんでするの?
「結婚して普通に性交渉をしていたら授かる」「生理もあるし妊娠できる」。そう考えている夫婦も多いと思いますが、実は自然に妊娠できる確率は20~25%程度で、実はそこまで高い確率ではありません。
今、この記事を読んでいる方でも不妊治療をしている人や、思っていたより妊娠できないことに焦りを感じている人もいるかもしれませんね。
妊活を始める前に準備することは?
夫婦で話し合う
まずは夫婦で妊娠に向けての「共通の認識」を持つことが大切です。
「いつ頃赤ちゃんを産みたいか」「将来は何人の子供が欲しいのか」など夫婦で話しあい、同じ方向を向いて、夫婦揃って妊活をすることが理想ですね。
なぜ夫婦で話し合う必要があるの?
まずお互いの気持ちを確認して、「同じ方向を向いて一緒に取り組むことが重要」です。
最初に知っておいてほしいのですが、妊活がうまくいかず不妊症とされる原因は女性に多いように思われる人も多いのですが、実は不妊の原因は「男女で1対1」なのです。
だからこそ、万が一、どちらかに原因があった場合には、お互いに支え合いながら妊活に取り組む必要があるからです。
妊活の基本となる 5つのステップ
① 妊活のための身体づくりをする
妊活は妊娠して「健康な赤ちゃんを産むための準備」です。
そのためにはお母さん、お父さんが健康な体でいることも重要です。
妊活をするための健康な身体づくりには生活を見直すことも大切です。
規則正しい生活で、栄養バランスの良い食事を摂り、適度な運動をして、しっかりと睡眠をすることが大切です。
それでも毎日の栄養バランスの良い食事を作るのは大変なので、サプリメントや栄養補助食品を使うのもおすすめです。
② 基礎体温を記録して、正確な生理周期と排卵日を知る
一般的に女性が妊娠しやすいとされるタイミングは、排卵日の1~2日前と言われています。
排卵日を知るためにも基礎体温を知っておくことで、性交渉をするベストなタイミングを予測することが可能になります。
排卵日は生理が終わってから排卵までの低温期に排卵日がきます。
③ 排卵日を予測して性交渉をする「タイミング法」に挑戦
排卵日を予測して、排卵日に合わせて性交渉を行うことをタイミング法と言います。
排卵予定日の3日前くらいから、1日置きに性交渉をするのが理想とされています。
きっちり正確な日が分からないことと、精子の腟内での寿命が2日(72時間)と言われているので、常に腟内に精子がいる状態で卵子が出てくるのを待つというイメージですね。
④ 病院で検査をして自分の身体の状況と原因を確認する
レディースクリニックや婦人科、不妊治療専門医院を受診することも大切です。妊活の相談はもちろんのこと、子宮や卵巣の状態を診てもらいあなた自身の状況を知ることも大切です。
受診することで、妊活、妊娠、出産に影響がある病気の早期発見ができることもあります。
妊娠しにくい人の場合は原因が分かっていれば、治療したら解決できることも多くあります。
早く妊活を成功させるためにも、夫婦揃って体に異常がないかを調べ、健康状態を知っておくことが重要です。
⑤ 不妊治療を検討する
妊活を開始して1年以上経過しても授からない場合、一般的に「不妊症」の可能性が疑われます。
先ほども書きましたが、不妊の原因は男女で1:1です。
生理周期が不規則になりがちな方や生理痛がひどい方や、30歳以上で妊活を考えている方は、ブライダルチェックや、精液検査を受けてみることをおすすめしています。
もちろん1年待つ必要はありませんので、妊娠を望んだタイミングで検査してみてはいかがでしょうか。
妊活で注意する 3つのポイント
冷え
妊活をしている女性にとって冷えは大敵です。
冷えは体の血行や代謝を悪くしてしまう要因の一つで、排卵障害や子宮や卵巣機能の低下にもつながると言われています。
子宮には太い動脈が通っており、絶えず血液を流しているので子宮自体が冷えるということは、あまり考えられないそうです。
防寒などで一時的な冷え対策をするより、栄養バランスの良い食事をし、たんぱく質などを積極的に摂取し、適度な運動をすることで基礎代謝を上げ、基礎体温をあげる方がおすすめです。
飲酒(アルコール・カフェイン)
お酒(アルコール)の過剰摂取は、ホルモンバランスに影響を与えてしまい、流産の原因になったり、先天性の形態異常の可能性が高まります。
男性にとっても、アルコールの過剰摂取は健康被害をもたらすので注意しましょう。
妊活をはじめ、いきなり止めるのは大変なことですが、少しずつ減らしていくようにしましょう。
喫煙
タバコは「百害あって一利なし」とよく言われますが、タバコに含まれるニコチンという成分は血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。
女性の場合は赤ちゃんの生育不良や早産、流産の原因になり、男性の場合は精子の状態に影響を与えてしまい、精子の運動率の低下や受精能力の低下を引き起こしてしまうと言われています。
いきなり禁煙をするのが難しい人もいると思いますが、妊活をはじめたら減煙、禁煙を心がけましょう。
妊活も日常生活も健康という土台があってのもの
妊活を始めるにあたって、まずは自分自身の体の状態を知り、健康であることが大切です。
食生活の乱れ、睡眠不足、過剰なストレスなどが続くことで、生理周期やホルモンバランスに影響がでてしまうので、注意してくださいね。
基礎体温を記録して生理を予測したり、排卵検査薬を使って排卵日を確認したりして、今まで「なんとなく知っていた自分の体」のことを「しっかりと体の内側から知っていく」ことを意識していきましょう。
生活習慣と食生活を改善
妊活というと特別なことをしないといけないと思うかもしれませんが、実は普段の生活でもできることがたくさんあるんです。
質の良い睡眠
質の高い睡眠と就寝時間を意識してみましょう。
睡眠はただ体や脳の疲れをとるだけでなく、妊活にとって大切な「メラトニン」と呼ばれる、妊娠のためのホルモンを分泌する大切な時間でもあります。
少なくても6~7時間は睡眠するようにしましょう。
メラトニンの分泌量が多くなると言われる、深夜1~3時に深い眠りに入る状態をつくるのが理想です。
そのために深夜0時までには就寝することを意識してみましょう。
適度な運動
適度な運動をすることは心身共に良い影響があります。基礎代謝があがることで免疫力、冷えの対策になるだけでなく、ストレスの発散にもなります。
運動を始めると言うとハードルが高く感じる人もいるかもしれませんが、まずはできることからはじめましょう。
妊活も運動も継続が大切です。
まずは階段をいつもより多く使ったり、朝にストレッチをするなど日常で取り入れやすい運動をはじめてみて、ウォーキングやランニングに繋げていく方が無理なく続けられるかもしれませんね。
バランスの良い食生活
一日3食をしっかりと食べるのは基本ですが、その中でも食べたい物だけを食べるのではなく栄養バランスにも気をつけていきたいですね。
妊活中はバランスの良い食事と一般的には葉酸を摂取することが推奨されていますね。
葉酸は妊娠するためというより、妊娠前から妊娠中にしっかりと摂っておくことで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げることが明らかになっています。
最近の報告では葉酸が充足していると妊娠率が1.15倍あがるという報告もあるようです。
妊活には葉酸だけではダメ?
葉酸は厚生労働省も推奨している通り、妊活のためには摂取した方がいい栄養素です。
しかし、妊活中に必要な栄養素は葉酸だけではありません。
小学校の給食を思い出してみてください。
しっかりとバランスのとれたメニューが毎日出ていませんでしたか?
健康な身体づくりに欠かせない栄養素の1つがたんぱく質です。
臓器、血液、髪、爪など、あらゆる身体の組織をつくる材料になります。
もちろん子宮や卵巣、卵子や精子にも役に立つ栄養素ですね。
他にも各種ビタミン、亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなど、満遍なく栄養素を摂取することが健康な身体づくりのためには必要ですね。
妊活中も妊娠中も健康な身体づくりこそ土台になるので、是非意識しみてくださいね。
※ 本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を選定・推奨している訳ではありません。